読んでいくうちに、自分の経営がいかに間違っていたのか、社員を大切にしない会社に未来はない、ということを思い知ったという。

まず社員に向き合おうと社員意識調査の実施や全社員との面談を開始。

社員からの辛辣な意見や要望に触れ、そうしたことを行うたびに40℃近い熱が出てうなされたという。

それでも少数の社員は業績軸から幸せ軸へ変わろうとしている上原社長に共感共鳴してくれた。

そうした同調者に勇気づけられ、この社員のために「いい会社」をつくっていこうと前へ前へと進んでいった。

坂本光司先生にも直接会い、意を決した上原社長は、2014年のある日、朝礼で「誰も辞めさせない、辞めたい様な会社にしない」と宣言した。

そして、実際に交通事故で障がい者になってしまった社員の雇用を継続する行動をしていった。こうした本気度がようやく社員の心に届き、この宣言以降2023年に至る9年間は、離職者ゼロという劇的な改善に成功している。

業績軸から幸せ軸へ転換後、2012年と比べて2022年には売上は1.59倍、経常利益は2.57倍と確実な事業成長を果たしている。

人を大切にする経営が行き渡っていったことで「こんな居心地の良い会社が無くなったら困る!!」と、会社事を自分事として社員が主体的に行動をしてくれるようになった、と上原社長。

ご自身の体験から、「どんな業種でも、人を大切にする経営を実践していけば必ずよくなる」ということを経営者やリーダーに伝えたいと熱く語られていた。

 前回のヒグチ鋼管さんと同じ、2025年3月4日、第15回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」において、審査員特別賞を戴冠された。何度となく跳ね返っされても、あきらめずいい会社づくりを続けた執念の受賞となった。

6月の東京GCCでは、西軽精機の上原社長をゲストとしてお招きし、ご講話をしていただきます。「日本でいちばん大切にしたい会社」に出会って感動し、こういう会社になりたいと思う経営者数多くいれども、それを実践し形にし、そして大賞受賞まで導ける経営者は多くありません。なぜ成功できたのか、その極意をとくと学びます。今回も聴き逃しは出来ません。

東京GCC共同発起人
株式会社シェアードバリュー・コーポレーション
代表取締役　小林秀司